2019.03.04  ブログ 

共有に係る特許権について特許権者に対し審判を請求するときは、共有者の全員を被請求人として請求しなければならない(特許法第132条第2項)。

では、AとBが共同で、特許権者であるCを被請求人として無効審判を請求し、「特許を無効にすべき旨の審決(無効審決)」があり、出訴期間内(30日以内)に、審決に不服のある被請求人(特許権者C)が審決取消請求訴訟を提起する場合、原告である特許権者Cが、審判請求人であるA及びBのいずれか一方のみを被告として訴訟を提起したとすると、それは適法な訴えといえるであろうか。

知財高裁は、「共同審判請求に対する審決につき合一的確定を図ることは法文上の根拠がなく,その必然性も認められないことから,当該審決に対する取消訴訟をもって固有必要的共同訴訟ということはできない。」としたうえで、「被告とされなかった共同審判請求人との関係で出訴期間を経過した場合には,同人との関係で当該無効審決が確定し,当該特許権は対世的に遡って無効となることから,上記審決取消訴訟は,訴えの利益を欠く不適法なものとして却下されるべき」と判示した。

本件訴訟では、無効審決を受けた原告(特許権者C(実際には、共有特許権者がおり、特許権者C, D))が、審判請求人Aのみを被告として訴えの提起をしていたため、訴外会社Bとの関係で無効審決は確定し、特許法第125条第1項の規定により特許権は初めから存在しなかったものとみなされ、不適法な訴えとして却下された。実体的な内容の判断に入ることなく無効審決が確定するという、特許権者にとって極めて不利な結果となった事案といえる。なお、原告に訴訟代理人はいなかった。

知財高裁判決 平成30年12月18日判決言渡 平成30年(行ケ)第10057号 審決取消請求事件

ちなみに、審決取消訴訟の当事者適格については、
(1)実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で拒絶査定に対する審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に提起する審決取消訴訟は、固有必要的共同訴訟であると判示した最高裁判決(平成6(行ツ)83)
(2)特許権の共有者の1人は,特許異議の申立てに基づき当該特許を取り消すべき旨の決定がされたときは,単独で取消決定の取消訴訟を提起することができると判示した最高裁判決(平成13(行ヒ)154)

が知られている。審決ないし決定の合一確定の必要性が高いか否かで考えると理解しやすい。

関連記事