医薬組成物と「スイス・タイプ・クレーム(使用クレーム)」について

「疾病Yの治療薬の製造における化合物Xの使用」(use of compound X in the manufacture of a medicament for the treatment of disease Y) のような形式で記載されたクレーム形式は、「スイス・タイプ・クレーム」と呼ばれている(※1)。欧州では、EPC53条(c)の規定により、治療方法に関する発明は、特許の保護対象にならないことを規定しているため、従来はこの「スイス・タイプ・クレーム」と呼ばれる記載にすることで、医薬品用途発明という形で特許を取得することができていた。しかし、EPOの拡大審判部は、それまでEPOが許容してきた「スイス・タイプ・クレーム」を今後は認めない方針を明らかにしたため、今後は「疾病Yの治療における使用のための化合物」(Compound X for use in the treatment of disease Y)のようなクレーム形式(purpose-related product claim) へと変更する必要がある(※1)。

我が国ではどうか。我が国でも、請求項に記載した発明が「人間を治療する方法の発明」に該当する場合、「特許法第29条第1項柱書に規定する産業上利用することができる発明に該当しない。」として拒絶理由が通知される。しかしながら、「スイス・タイプ・クレーム」は、我が国では「用途発明」の一態様として認められている。例えば、「○○を選択的に阻害する方法であって、化学式(X)の構造を有する□□阻害化合物、もしくは薬学上許容される塩又はその溶媒和物の有効量を△△細胞に接触させる方法。」のような請求項に対しては、我が国では特許法第29条第1項柱書違反が通知されるが、請求項の記載を、「化学式(X)の構造を有する選択的な□□阻害化合物、もしくは薬学上許容される塩又はその溶媒和物の有効量を含む阻害化合物を用いた医薬組成物の製造のための使用。」と補正すれば、上記拒絶理由は解消する。「治療用途のために被検体に投与するため組成物であって、前記治療用途が、・・・、の治療からなるグループから選択される1つ以上の用途である化学式(X)の構造を有する組成物。」なども他の特許要件を具備すれば特許されると考えられる。

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