上司を発明者に追加できるか?

2020.12.25 

我が国の特許出願の願書に”上司”だからという理由のみで、発明者として記入することができるか。

発明者に記入するしないは、出願人が決めることである。但し、我が国の特許法は、特許を受ける権利の帰属については「発明者主義」を採用しており、発明者が真の発明者でない場合は、「特許を受ける権利を有しない者による特許出願」(冒認出願)として、拒絶理由(特許法第49条第7号)及び無効理由(特許法第123条第1項第6号)になるなど特許法上の問題が生じうる。

学説によれば、以下の者は、共同発明者ではない(※1)。
例1) 部下の研究者に対して一般的管理をした者、たとえば、具体的着想を示さず単に通常のテーマを与えた者又は発明の過程において単に一般的な助言・指導を与えた者(単なる管理者)

例2)研究者の指示に従い、単にデータをまとめた者又は実験を行った者(単なる補助者)

例3)発明者に資金を提供したり、設備利用の便宜を与えることにより、発明の完成を援助した者又は委託した者(単なる後援者・委託者)

真の発明者であるか否かという点については、発明に実質的に寄与したか否かで判断され、しかも、争いになった場合、その立証責任は特許出願人及び特許権者が負担すべきと解される(※2)。

従って、上司が発明者ならば、発明者として記入することに問題はないが、発明者でないにも関わらず、発明者として記入することは問題があり、避けるべきである。

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※1 吉藤幸朔・熊谷健一補訂『特許法概説[第13版]』(東京:有斐閣、1998年)187-188頁。
※2 平成20年(行ケ)第10429号審決取消請求事件 「当裁判所の判断」