特許事務所が発行する領収書

2020.12.17 

領収書は「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当するため、原則として、金額に応じて収入印紙を貼り付けることが必要である (※1) 。しかし、よく知られているように、個人事業主である医師や弁理士(のような士業)が発行する領収書は、いずれも「営業に関しない受取書」として、印紙税法上の非課税文書という扱いとなり、金額によらず収入印紙を貼り付ける必要がない(※2)。

では、特許業務法人(士業法人)が発行する領収書についても、個人事務所の場合と同様に、領収書に収入印紙を貼付しなくてもよいか。

結論としては、定款に「配当規定」が存在するか否かで取り扱いが変わる。配当が禁止されている士業法人については個人事業の場合と同様に、領収書に収入印紙を貼り付ける必要はないが、配当が禁止されていない士業法人については、領収書に収入印紙を貼り付ける必要がある(※3)。但し、その場合でも、請求書を(紙ではなく)電子文書として発行する「電子契約」の場合、領収書に収入印紙を貼り付ける必要はない(※4)。

特許業務法人の定款は、設立時に日本弁理士会で提供しているひな形を参考にして作成することが多いであろう。この場合、配当規定が存在するから、敢えて削除しない限り、通常は「配当が禁止されていない士業法人」に当たるはずである。例えば、

(積立金)
第○条 当法人は、その出資額の○ 分の1 に達するまで毎配当期において、その利益の○ 分の1を積み立てるものとする。
(剰余金の配当)
第○ 条 当法人は、損失を補填し、かつ、前条の積立をした後でなければ剰余金の配当をすることはできない。

のような規定が該当すると考えられる。もちろん、実際に配当をしたか否かは関係がない。
個人事業としての士業事務所を法人成りした場合は、注意が必要である。

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※1 印紙税法別表1第17号の1 https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/7140.htm
※2 印紙税法基本通達別表第1第17号文章の26 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/19/02.htm
「一般に営業に当たらないと解されている自由職業者が、その業務に関して作成する受取書は非課税となります(基通第17号文書の25及び26)。」
※3 印紙税法別表第1第17号文章非課税物件欄2かっこ書き https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/19/02.htm
「法令の規定、定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配のできる法人が、その出資者に対して行う事業に係る受取書は非課税となります(第17号文書の非課税物件欄2)。」
※4 印紙税法基本通達 国税庁ウェブサイトより https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/inshi/mokuji.htm