特許事務所が発行する領収書

領収書は「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当するため、原則として、金額に応じて収入印紙を貼り付けることが必要である (※1) 。しかし、よく知られているように、個人事業主である医師や弁理士(のような士業)が発行する領収書は、いずれも「営業に関しない受取書」として、印紙税法上の非課税文書という扱いとなり、金額によらず収入印紙を貼り付ける必要がない(※2)。

では、特許業務法人(士業法人)が発行する領収書についても、個人事務所の場合と同様に、領収書に収入印紙を貼付しなくてもよいか。

結論としては、紙の領収書の場合には、領収書に収入印紙を貼り付ける必要がある(※3)。請求書を(紙ではなく)電子文書として発行する「電子契約」の場合、領収書に収入印紙を貼り付ける必要はない(※4)。

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※1 印紙税法別表1第17号の1 https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/7140.htm
※2 印紙税法基本通達別表第1第17号文章の26 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/19/02.htm
「一般に営業に当たらないと解されている自由職業者が、その業務に関して作成する受取書は非課税となります(基通第17号文書の25及び26)。」
※3 印紙税法別表第1第17号文章非課税物件欄2かっこ書き https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/19/02.htm
「法令の規定、定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配のできる法人が、その出資者に対して行う事業に係る受取書は非課税となります(第17号文書の非課税物件欄2)。
そして、特許業務法人は弁理士法第55条1項において、会社法第621条(利益の配当)の規定を準用しているため、出資者以外の者に交付する受領書、領収書は営業に関する受取書として印紙税が課税される。
(印紙税法別表第一 第17号文書「非課税物件の欄」)(国税庁HP質疑応答事例:2012年11月2日)」
※4 印紙税法基本通達 国税庁ウェブサイトより https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/inshi/mokuji.htm

*2021/3/22追記
定款に記載しているか否かではなく、弁理士法で会社法の規定を準用しているため、特許業務法人は「法令の規定」により利益金又は剰余金の配当又は分配のできる法人にあたる。そのため、(紙の領収書には)印紙税が必要とのこと。