知財デューデリジェンス(知財DD)と知財価値評価について

2016.02.09 

一般に、特許事務所で「ワンストップサービス」という場合、「発明発掘から権利取得、権利行使まで」のすべてをその事務所単独で(若しくはチームの中心メンバーとしてリーダーシップを発揮しつつ)処理できることを指すことが多い。事実、弊所が2002年の開業当初から10年目頃まで考えていたのは、まさにそのようなものであり、端的にいうと、権利取得と権利行使に関わる業務及びそれらを円滑に実施するコンサルティング業務(Prosecution & Litigation with Consulting)、いわば弁理士のコアスキルともいうべき実務能力を最も発揮できる分野であった。
しかし、多くのクライアント企業との関わりのなかで、それだけでは必ずしも十分ではないことに気づき始めており、ここ数年は、知財流通(IP Transaction)や知的財産権の価値評価といったいわゆる出口戦略に関わる部分にも興味を持ち始めている。弁理士は、スタートアップ企業がその技術力をベースに資金を集め、知財ポートフォリオを構築し、企業価値を高めてExitする一連の過程すべてに直接的に関わることができる数少ない存在であると思う。知財デューデリジェンスは多くの場合、バイサイド側が実施するが、近年はセルサイド側が売却対象会社(事業)を見直すために実施されることも増えているという(※1)。知財DDや知財価値評価に関して直接的に深く関わった案件の数はいまのところまだそれほど多くはないが、過去にはクライアント企業の出口戦略に関わったケースがいくつかある。当時は知識も経験も無く、弊所の関与はごくわずかなものであった。現在は、これらの一連の業務を強力にサポートするチームを構築する準備ができているので、今後はこれらの分野についても強みを発揮できる特許事務所を目指したい。

※1  知的財産デューデリジェンスの実務(中央経済社)