電子出願ソフト(インターネット出願ソフト)について

2020.08.20 

わが国の特許庁が提供する「電子出願ソフト(インターネット出願ソフト)」は、電子証明書を取得してオンラインで特許庁に書類を提出することを可能にするソフトである。電子証明書は、法人であれば法務局(ルートCAは、東京法務局登記官)から、個人であれば個人向けの電子証明書を発行できる認証機関等から、取得する。わが国の特許庁を受理官庁とする場合は、PCT出願も可能である(※1)。古くはパソコン出願ソフトという名称のソフトウェアでダイアルアップ接続による発信者番号で認証していたが、インターネット回線を利用するようにバージョンアップした際に、電子証明書を用いた認証が必要となった経緯がある。

いずれにせよ、現在は特許庁側のシステムが稼働している限り、24時間・365日、特許庁に書類を提出することが可能である。例えば、優先権主張出願、意見書提出、出願審査請求といった提出期限のある手続でも、期限末日の午後11:59:59までに提出が完了すれば、期限を徒過しない。もちろん、そのような事態を避けるように最善を尽くすことは言うまでも無いが、クライアントからの指示が期限間際になったり、準備に時間がかかって期限ぎりぎりになってしまうこともある。期間延長が可能な手続であれば期間延長するが、そうでない場合でも、オンライン提出可能な手続については電子出願ソフト及びサーバーが稼働している限り、期限内に書類の提出が可能である。夜遅くに郵便局の本局まで簡易書留を出しに行く必要がなくなることが分かっているだけでも安心である。

一方、電子出願ソフトを利用すると、特許庁からの発送書類をオンラインで受領することができる。郵送で書類受け取る場合、発送日と受領日とで1日程度のタイムラグがあるが、電子出願ソフトを利用して書類を受け取った場合、発送日が受領日と等しくなる。期間は受領日を起算日として計算されるため、提出期限のある書類については、末日が週明けまで延長されるように、提出期限の末日が土曜日となるように受領できることが理想的である。しかし、現状の電子出願ソフトは受領するまで未発送書類の中身やタイトルを予め確認できない。これは、現在の電子出願ソフトの唯一の欠点である。未発送書類の中身やタイトルを予め確認できれば、その内容に応じて受領日を調整できて便利である。例えば応答期限が3か月間である在外者の特許出願の拒絶理由通知については火曜日ではなく金曜日に受領することが可能となり、出願人の利益につながる。

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※1 世界知的所有権機関(WIPO)に直接提出する書類(例えば、マドリッドプロトコルによる商標の国際出願やハーグ協定(ジュネーブ改正協定)による意匠の国際出願、その他WIPOに直接提出しなければならない書類)の提出には、電子出願ソフトを利用できない。