外国での著作権登録と権利行使について

2020.07.10 

わが国では、著作権は創作した時点で発生する。これを無方式主義という。無方式主義の対立概念は方式主義といい、権利を発生させるために何らかの方式的要件を満たすことが必要な主義をいう。例えば、特許出願、実用新案登録出願、意匠登録出願、商標登録出願は、権利を発生させるために「出願」という要式行為を必要とする。出願したうえで、方式審査と実体審査を両方ともクリアしなければ権利は発生しない。日常会話のなかでは、”特許申請”でも文脈上は特許出願の意味で用いられていることが明らかなので差し支えはないが、「実体審査」があり、「拒絶される」こともあるので、法律用語としては「特許出願」、「意匠登録出願」、「商標登録出願」というのが正しい。実用新案については、実体審査はないが、基礎的要件の審査があるし、無効審判制度もあるので、やはり「実用新案登録出願」というのが正しい。商標登録の更新登録については、料金と方式的手続を条件に手続が完了するので、「商標登録更新申請」という。

わが国を含め、著作権の発生に関して無方式主義を採用する国※1において、権利行使するのに登録は不要であるが、登録により、第三者対抗要件が得られるし、権利行使の段階で著作物性自体が争点になることも少ないであろう。登録手続としては、美術に関する著作物の場合は「文化庁」に、コンピューターソフトウェアに関する著作物の場合は「一般財団法人 ソフトウェア情報センター」に、適式な「登録申請書」を提出する。手続は本人でも可能であるし、代理人を利用してもよい。ちなみに、著作権登録申請の代理は、弁理士法に規定される独占業務には当たらないので、職業代理人に依頼する場合は、弁理士以外の代理人に依頼する方法もある。行政庁の1つである文化庁に対する手続の職業代理人という意味では、行政書士の先生にお願いするという方法もあるかもしれない。

もちろん、当事務所でも、著作権登録の代理業務は取り扱っている。正確には、「特許業務法人」が代理人になるのではなく、当事務所の弁理士(個人)が代理人となる。これは、特許庁に対する特許出願等の手続代理とは異なる点である。当事務所を利用するメリットとしては、国内での著作権登録に加えて、諸外国でも著作権登録を希望する場合にも容易に対応できることである。各国の代理人と連絡を取り合い、必要な手続を行えるように支援する。総じて言えば、登録手続は、オンラインで簡単に手続できる国もあれば、必要書類の一部に対して事前に領事館認証が要求される国もあり、国によっては手続の煩雑さ、コストも様々である。特許のような優先権制度も存在せず、登録される権利内容も各国で同じにはならない。

諸外国での著作権登録に関して特に注意しなければならないのは、登録対象の考え方が各国ごとに異なるという点である。わが国では、比較的まとまった単位で登録できるが、外国の場合、その単位が非常に細かく、予想外にコストがかかったり、費用対効果を考えて一部の権利化を断念する場合があることである。

さらに、著作権登録はもちろん、権利行使についても各国代理人等と連携して迅速に事件処理に当たることができる。著作権に限らないが、一般に権利行使は、模倣品の侵害態様を調査し、対象製品を特定し、それらの証拠を収集するところから開始する。調査は現地の専門業者に依頼することも少なくない。このように海外の専門家と連携して事件処理に当たることができることは、当事務所の強みでもある。

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※1 ベルヌ条約の加盟国と保護期間一覧
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07091009/001.pdf
(日本の保護期間が空欄だが日本の保護期間は現行法では死後(又は公表後)70年である。但し、広義の著作権とも呼ばれる「著作隣接権」はベルヌ条約の対象外である。)