情報提供制度(特許法施行規則第13条の2)

2013.07.02 

他社特許ウォッチングサービス(SDI)や侵害予防調査、或いは特許情報を利用した特定技術分野のマクロ調査の結果、自社の実施に影響を及ぼす可能性のあるが、未登録の(特許査定前の状態にある)、他社特許出願が発見された場合、どのような手段を講じるべきか。とりうる対応は様々であるが、他社特許を拒絶査定に導くための適切な刊行物等の情報を特許庁に提出する、「情報提供制度」を利用することは、検討に値するであろう。

情報提供制度は特許法施行規則第13条の2に規定されている(*1)。異議申立制度が廃止された現在では、無効審判のようないわゆる「当事者対立系」手続ではなく、従来の異議申立制度同様に、あくまで出願人と特許庁間の「査定系」手続で処理される点で、情報提供制度の重要性は高まっていると言えるであろう。

特許庁の統計によると、2009年1月から、刊行物提出はオンラインでできるようになり、オンラインの利用件数は増加傾向であるが、提出された物件数の総数自体は、2009年をピークに減少傾向のようである(*2)。

しかし、SDIを利用して他社特許のウォッチングを確実に実施している知財部門を有する会社は実に的確・確実、かつ適時にこの制度を利用して効果を挙げている。情報提供に費用(特許庁費用)は一切かからず、一層の活用が望まれる。

なお、情報提供を行う際には、「刊行物等提出書」を作成し、特許庁に提出する。このとき、提出者の記載を「省略」することで、匿名で情報提供を行うことができる。逆に、記名して「連絡先」を記載しておけば、情報の利用状況(すなわち、提出した「刊行物等」が審査で引用文献として用いられたかどうか)について「フィードバック」を受けることができる。

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*1 特許法施行規則第13条の2
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35F03801000010.html
(情報の提供)

第十三条の二 何人も、特許庁長官に対し、刊行物、特許出願又は実用新案登録出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲若しくは図面の写しその他の書類を提出することにより、特許出願が次の各号のいずれかに該当する旨の情報を提供することができる。ただし、当該特許出願が特許庁に係属しなくなつたときは、この限りでない。
 その特許出願(特許法第三十六の二第二項の外国語書面出願、同法第百八十四条の四第一項の外国語特許出願及び同法第百八十四条の二十第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願であつて外国語でされたものを除く。)の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が特許法第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていないこと。
 その特許出願に係る発明が特許法第二十九条 、第二十九条の二又は第三十九条第一項から第四項までの規定により特許をすることができないものであること。
 その特許出願が特許法第三十六条第四項 又は第六項 (第四号を除く。)に規定する要件を満たしていないこと。
 その特許出願が特許法第三十六条の二第二項 の外国語書面出願である場合において、当該特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が同条第一項 の外国語書面に記載した事項の範囲内にないこと。

 前項の規定による情報の提供は、様式第二十により作成した書面によらなければならない。
 前項の書面には、第一条第三項の規定にかかわらず、提出者の印を押すことを要しない。
 第二項の書面には、第一条第三項の規定にかかわらず、提出者の氏名若しくは名称、住所若しくは居所又は法人にあつては代表者の氏名を記載することを省略することができる。

*2 情報提供制度について(特許庁ウェブサイトより)
http://www.jpo.go.jp/seido/s_tokkyo/tt1210-037_sanko2.htm