辨理士という表記について

2010.08.18 

明治32(1899)年7月1日に現在の弁理士制度の前身である「特許代理業者登録規則」が施行されたという。現在は2010年であるから、弁理士制度が始まって今年111年目にあたる。そういえば、去年弁理士制度110周年のイベントが行われたのを思い出した。

「弁理士」を難しい字で表すと「辨理士(べんりし)」となる。昔はこの字がよく用いられていた。 今でも、名刺の肩書きや弁理士の職印などにはしばしばこの「辨」の文字が用いられる。小職も特許庁に届出している職印にはこの字を用いている。この「辨」という字にはもともと、「物事の区別を見分ける」、「 物事を十分に理解する」という意味があるという。弁理士のコア業務ともいうべき「特許出願業務」などでは、自然科学の知識をベースとして発明の基本的な動作原理などを十分に理解し、それをもとに特許明細書を作成する。「辨」理士に自然科学などに強い理工系出身の人が多いのものそのためであろう。
ちなみに、弁理士と一文字違いである弁護士にも、「辯護士(べんごし)」という難しい漢字表記がある。この「辯」の文字は「言」という字が入っていることからも分かるように、「話すこと」という意味があるという。「弁が立つ」というときの弁はこの字で表す。法廷で弁論する弁護士のイメージにはぴったりである。

弊所でも、知的財産に関する係争事件では、弁護士さんと協力して事件解決に当たるが、このように、漢字の意味を辿ると、技術内容を理解し説明する弁理士、説明を受けた内容を理路整然と相手方に弁舌する弁護士、という棲み分けがなされていると考えられる。もっとも、実際の裁判手続では事前に当日の陳述内容を記載した準備書面というものを裁判所に提出し、裁判の期日当日に出頭して、「原告(被告)第x準備書面 陳述」とするだけでよいため、小職の経験する限り、知的財産に関する民事・行政訴訟において、日本の裁判所で弁護士が朗々と弁舌を振るう場面はあまりないが。いずれにせよ、弁護士の作成する準備書面自体は理路整然と記載されおり、特に、証拠をうまく組み合わせて論理展開するところは小職としても見習うべき点が非常に多い。