中国特許権の存続期間計算の留意点CN_pat-term

2010.08.10 

中国特許法に精通しているY弁理士から極めて有益な情報をいただいたので紹介する。

中国の特許権の存続期間計算方法は、日本を含め諸外国と少し違っているという。

我が国(日本)では、特許権の存続期間は特許出願日から20年と規定されている(特許法第67条)。存続期間の計算にあたり、期間の初日(すなわち特許出願日)は、算入しない(特許法第3条)。特許出願日の翌日が第1日目ということになる。そして、特許法第3条1項2号で「期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う」とあるため、20年目に当たる存続期間第1日目の応答日の前日が第20年目の末日となる。

すなわち、これらの条文の解釈の結果として、特許出願日が仮に1999年9月6日とした場合、存続期間20年の満了日は、2019年9月6日と解するのが正しい。

ところが、中国では、特許出願日が仮に1999年9月6日とした場合、存続期間20年の満了日は、2019年9月5日となるのが正しいという。(注: 下記の例は実用新案であるため存続期間10年として計算されている。)

この根拠は、2010年2月1日に改正された中国専利法 審査指南の「第五部分(専利出願および事務処理)第九章 専利権の付与と終了 2. 専利権の終了 2.1 専利権の期間満了による終了」に記載されている。そこには次のように記載されている。

「2. 専利権の終了
2.1 専利権の期間満了による終了
発明専利権の期限は20年、実用新案権及び意匠権の期限は10年である。いずれも出願日から計算される。例えば、ある実用新案専利の出願日が1999年9月6日である場合、当該登録の期限は1999年9月6日から2009年9月5日まで、そして専利権の期限満了による終了日は2009年9月6日である(祝祭日にあたる場合は順延しない)。
専利権の期限が満了になった際に、直ちに専利登記簿及び専利公報においてそれぞれ登記、公告を行ない、失効処理を行わなければならない。」

なお、ここで「終了日は2009年9月6日」の意味は、2009年9月5日の24:00(=2009年9月6日0:00)に終了という意味で、2009年9月6日が満了日ではないと解される、とのことである。

従前、中国の特許実務では、特許法である「専利法」(※「特許」は中国語で「専利」という。)の第42条の規定と実施細則の旧第6条の規定とで、存続期間の初日を算入するか否かという点について2つの解釈が可能であったが、2010年2月1日付けで改正された「審査指南」の上記引用部分(第五部分第九章2  2.1)によって条文の解釈(中国の知識産権局の解釈)が明確にされたとのことである。

尤も、我が国の感覚でいうと、「審査指南」は特許庁内でのガイドラインを定めた「特許・実用新案審査基準」のようなもので、法律ではないと考えられるので、立法的解決が図られた、とまでは到底言えないであろう。我が国でも、審査基準が裁判所の判決を受けて改正されることはしばしばあるので、そういう意味では審査指南が絶対ということは誰も保証できない。とはいえ、1日であっても、例えばライセンス料や損害賠償額の計算などには影響しうるので、実務上は「審査指南」に従って解釈し運用することが肝要であると思われる。

(参考) ※邦訳はJETRO北京センターによる仮訳であり、公定訳文ではない。

2009年10月1日改正 中国専利法(仮訳) 第42条

http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/ip/law/pdf/regulation/20091001.pdf

2010年2月1日改正 中国専利法 審査指南(仮訳) P.454 第五部分第九章2  2.1

http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/ip/law/pdf/section/20100201.pdf

2010年2月1日改正 中国専利法 実施細則(仮訳) 第5条(旧第6条)

http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/ip/law/pdf/admin/20100201.pdf

日本国特許法 第3条

第3条 この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。

一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を算入しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応答する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応答する日がないときは、その月の末日に満了する。

2 略