特許事務所の選択方法

2009.10.14 

発明相談会でときどき受ける質問に、特許事務所に手続きを頼みたいが、弁理士の中でも得意不得意分野などがあるのか、また費用はどれくらいかかるのか、事務所の選びかたを教えて欲しいというものがある。

これに対する一般的な回答としては、取り扱い分野などの情報は日本弁理士会のウェブサイト「弁理士ナビ」で公開しているのでそちらを参照して検索すればよいということになり、また、出願系については特許電子図書館(IPDL)の代理人検索を利用する方法もある、さらに、費用については日本弁理士会のアンケート結果が公表されているので参考にしてみてはどうか、但し、コンフリクトの問題で希望しても受任してもらえない場合があり注意が必要である、といった具合に、回答すべき情報としては基本的にそれで終わってしまうのだが、私はいつもこう付け加える。私がお勧めする信頼できる事務所とは、得意分野や実績などはもちろん重要だが、

「事前にきちんと見通しやリスクや概算費用などを説明してくれる事務所、もっといえば、あなたが依頼した仕事が万一不成功に終わっても、また依頼したくなるような事務所です。」と。

出願系の事件にせよ、係争がらみの事件にせよ、100%成功ということはありえない。毎回希望通り裁判で勝訴したり、好条件で和解できたり、広い権利範囲で特許査定や商標登録できたりすれば、言うことはない。受任時に、成功の可能性が高いかどうかということはある程度の情報があれば判断できるが、その判断も確実なものとはいえない。そういうリスクをきちんと説明した上で、事前に報酬の説明と合意があり、納得して依頼したのであれば、万一所期の目的を果たすことができずに不成功に終わっても、納得できる事務所が信頼できる事務所というべきではないか。

勝つ可能性が小さいときに勝つことができればビジネス上はきわめて優位な立場に立てることが多い。ハイリスクだがハイリターンというケースである。たとえば、関連技術は公知であるため進歩性に難ありということで特許が取れる可能性は小さいが、うまく特許を取得できれば出願人にとって非常に価値の高い特許になりうる、というのはよくある話である。そのような場合でも、リスクを承知で依頼し、担当弁理士がベストと誠意を尽くして取り組んでくれるかどうか、きちんと担当弁理士が都度状況を説明してくれる事務所かどうか、という観点が重要である。

当事務所では、このような基本的な考え方に基づいて、可能な限り将来のリスクを説明しつつ、少ない可能性にかけてでも最大限の利益が得られる方法に軸足を置くのか、或いはリスクを回避するために安全策をとるのか、将来の見通しと選択肢を示しながら納得して進めるように、また費用でのトラブルを極力回避するため、十分な報酬に関する説明を行うように留意している。特に、紛争解決事件の報酬金は想定される解決利益に基づいて算出することとしており、委任事務の範囲や報酬や責任の範囲等について定めた委任契約書を交わし、十分納得の上で依頼してもらうように努めている。